先駆者の旅立ち

朝の訃報から、ことあるごとに思い出しては悔やまれます。

私をこの世界に引き入れてくれたのは、やはり中村屋のお父上なのです。
勘三郎さんが居たから、勘九郎くんや七之助くんも贔屓になったし、観ていくうちに他にもお気に入りの役者さんが増えたし。
歌舞伎を身近なものにしてくれた先駆者…それが勘三郎さんでした。


平成中村座の芝居小屋に一度は行ってみたかった。
勘九郎くんの襲名披露に行けなかったけど、また口上が聞ける機会があるかな？
なんて…そんな期待を胸に、勘三郎さんの回復を祈っていたのですが…。

もうお会いすることは叶わなくなってしまいました。

今でも、浅草公会堂のロビーでぶつかりそうになって、見上げた時の勘三郎さんのお顔を鮮明に思い出します。

歌舞伎座の改築にあたって、誰よりも後世のことを考え、力を入れていらっしゃったのに…
完成間近でこのような形になるだなんて。


何故才ある方は急逝されるのか。
心に大きな穴が空いた気がします。
暫くは兎の目状態になっていそうです。

今まで走り続けていた勘三郎さん。
今はゆっくり休んで、一門の方々を見守って下さっているのでしょうか。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。